先日「Google ChromeのシェアがIEを抜いた」などというニュースが流れてきて,第二次ブラウザ戦争も新しい局面を迎えているなあ,などと考える今日この頃です.
ユーザーからすると各社がしのぎを削ってくれるのは大変素晴らしいことでもあります.
さて,アップデートが行われるたびに「大幅に進化したFireFox」「Google Chromeの進化」などと日常的に騒がれるわけですが,それって本当に進化なのでしょうか?
「進化」ということばはしばしば本来の意味からは大きく外れる使い方をされます.ことばなので使い方が変わるのは当然なのですが,こうなると困るのが本来の使い方をしていた人たちです.
“進化は、生物の形質が世代を経る中で変化していく現象のことである (Wikipedia)”
とあるように,進化は別に改良されることを指す現象ではありません.大学の生態学の先生が「チンパンジーも時間がたったらヒトになるんですか?」といろんな場で聞かれて返事に困ってしまうと以前話していましたが,確かに某ゲームに親しんで育ってきてしまうとそんな誤謬も発生するのかもしれません.
ブラウザの話に戻りますが,ブラウザにとっては別に使いやすくなることが進化の目的ではありません.基本的には自分の複製を増やす(=大勢の人に使ってもらう)ことが目的であって,使いやすくなることはその手段に過ぎません.ブラウザにとって自己複製/拡大の目的が達せられるなら,ユーザーを裏切ることさえ進化となってよいはずです.
前置きが長くなりましたが,本題です.
IE拡張プログラムを作成しました.名付けて「利己的なプラグイン(The Selfish Plugin)」です.
このプラグインを導入すると,ページ内のGoogle Chromeの紹介/ダウンロードページへのリンクが全てIEの紹介ページのリンクに化けます.その他Chromeにまつわるページ(今のところURLにchromeという文字を含む)に全て同じ仕打ちを行います.こんな感じです:
キャプチャなのでマウスポインタがとれていませんが,検索結果のリンク先がIEになっているのがわかるかと思います.
私はIE(を含むブラウザ)について昔から「賢くないなあ」と思うことがあって,それは他のブラウザの安易な紹介です.もし私がIEだったとしたら,ユーザーが検索窓に”Chrome”と打ち込んだとき素直にChromeの紹介を見せるでしょうか?
Noです.絶対にNoです.あの手この手を使って見せまいとするに決まっています.そうでなければ死んでしまいます.
そこでこのプラグインです.この利己的なプラグインにより,IEはユーザーの目的を無視してChromeへのアクセスをなんとか拒否しようとします.積極的でないユーザーならあきらめてくれるかもしれません.
FireFox,Safariその他ブラウザへの対応も同様に可能です.
これで「IEはブラウザダウンロード用ブラウザ」などという不名誉な称号も,擬人化されて涙を流されることもきっとなくなるはずです.
やったねIE.
技術的な話をすると,IEの拡張なんて作ったのは初めてで,ただ話的にIEでないとできない内容だったので結局COMプログラミングに挑むことになりました.(コピー参考にしたページ:MSDN).
やっていることは単純なのでコード量的には多くありません.レジストリをいじったり面倒な作業が必要になるので完成品の公開はしませんが,一応クラスのソースだけ置いておきます.[ダウンロード]
あ,ちなみに私はFireFoxユーザーです.そんなに極端な使い方はしないのでなんでもよいのですが,ころころ変わると面倒なので合わせてあるだけです.