後輩向け: 卒論の研究室の選び方まとめ


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どの本をとるべきか?

ちょっとした事情でwebサーバーを止めていましたが,復活させました.

私の大学の工学部機械系2学科は4年生の4月に卒論の研究室配属が行われます.研究室からすれば毎年の行事ですが,当の4年生にしてみれば大事なイベントです.
4年生は例年この時期になるとどの研究室がいいかとか,この研究室は誰が志望しているだろうかとか,そういう話があちこちで聞かれるようになります.

一方で,いったい何を基準に選べばいいのか4年生にはよくわからないところもあります.これは研究室が遠くて雰囲気が伝わりにくい(らしい)ことと,そもそも研究生活をしたことがない以上何を重視すればいいのか知りようがないというのがあると思います.

もちろん研究テーマや研究室の専門は大事ですが,機械系は研究室の数がとても多く,また興味のある内容が広い人もいるため,なかなか決めきれない人も多いと思います.
かなりの人数が修士課程まで進むことを考えると,研究室選びというのは大学時代の後半3年間を決める大事なイベントでもあるわけです.

というわけで,新4年生向けに研究室選びに役に立つかもしれない情報をいくつか集めてみました.


念の為に言っておきますが,ここの内容は「何がある研究室は悪い」とか「こういう性格の研究室が良い」とかそういうことを書くつもりではありません.(なるべくニュートラルな立場を取ろうと努めています.)
選ぶときの目安としてどんな違いがあるのかの例を見せられたらと思っています.


まず身近なところで,私の指導教員がいくつか指標を用意してくれています.

  1. 4年生が修士で同じ研究室に進学しているか?
    修士の定員が少ない場合や,研究室が外部に有名で外部受験生が多い場合など例外もあります.また機械情報は(というか情報理工学系は?)院試の出願時に修士の指導教員まで決めてしまい時間がないため,基本的に卒論配属とおおよそ同じ志望になっていると思います.
  2. OBが研究室に出入りしているか? OBとの交流が活発か?
    OB以外にも,他の研究室の先生やメンバーなどとの交流も聞いてみましょう.つながりをもっている研究室もあります.
  3. 教授との相性
    人間同士なので,あまり他人の意見に流され過ぎないように.

 

next49さんのブログの「大学院修士向け研究室情報チェックリスト」にも,研究室選びについて様々なことが述べられています.修士向けとありますが卒論生向けでも問題ありません.この方は大学の教員で,他にも数多くの卒論生向けのエントリー研究全般についてのエントリーがありますので参考になるかと思います.

いくつか抜粋してみます.

  1. 実験系か理論系か。拘束時間や研究のスタイルが大きくことなる
    実験系は分野にもよりますが,機械の都合や故障などで一時的に時間が制限される場合があります.
    両方扱う研究室もありますが,片方だけの場合はもう片方とどういう関係を持ってるのか調べてみてもいいかもしれません.
  2. そもそも研究室のメンバーは何人か?
    人数が多いと研究室内でいくつかの研究グループに分割されていたりします.指導教員との距離感に影響します.もちろん人によって丁度良い距離があると思います.
    学生が多ければ教員の人数も増えますが,どちらかに比率が偏っている場合は,どういう理由があるのか考えてみてもいいでしょう.
  3. 管理か放任か
    機械系でコアタイムのある研究室はそれほどないと思いますが,週次イベントの数や時間はまちまちです.
    たいてい週のどこかで研究会があります.それ以外にもグループミーティングがある場合なども多いです.他にも例えば機械情報(正確には知能機械情報学専攻)の研究室は必修科目として研究室輪講があります.
  4. メンバーの多様性はどうか?(出身校、学部は、属していたサークル、人種、出身国、地域など)
    留学生の人数や結びつきの強い国などにはけっこうばらつきがあります.
    また,修士課程などで複数の枠を持っている研究室があります.機械系に近い分野だと創造情報学専攻,学際情報学府,バイオエンジニアリング専攻などがあります.研究室の多様性もそうですが,院試の入り口が複数になる場合もあります.

 

他にも,せっかくなのでいくつか見ておくとおもしろいかなと思うものを挙げておきます.

  1.  卒論生の面倒を見る人
    教授や准教授であったり,助教であったり,あるいはドクターであったり,比率は研究室で様々です.
  2. (研究テーマ設定などで)どれくらいの自由度があるのか?
    例えば研究室として大きなプロジェクトに関わっていたりすると,4年生もそれに合流して研究の一部を担当したりすることがよくあります.これもどちらのスタイルがよいかは個人差があります.
    テーマと問題点が決まっている方がもちろん研究は進みやすく,おそらく知識の吸収もしやすくなります.一方でテーマと問題点の設定というのは研究においてとても重要なプロセスで(一番大事という人もいる),避けては通れません.一方でそれには深い知識が必要で…と,鶏と卵みたいな関係になっている気がします.
  3. 研究室の入りやすさ
    「部外者は基本的に禁止」から比較的開放的な研究室まで様々です.研究室の方針が垣間見えます.
  4. 同期のメンバー
    後輩の好きな先輩というのも多分たくさんいますが,なんだかんだで困ったときには同期が一番頼りになります.仲のいい人がいるからというのも,必ずしも理由にならないわけではないと思います.
    これもきっと性格によりますね.

 


他にも違いを考えだすときりがありませんが,入ってみないとわからないこともたくさんあるので,あんまり深く悩みすぎないようにしましょう.研究室の形態も毎年どんどん変わっていきます.
先生方は皆とんでもなく優秀で,やりたいと思えばいくらでも力になってもらえるはずです.

研究室選びと4月からの研究生活,肩の力を入れすぎずにがんばってください.


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